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甲状腺の病気になると、多くの場合、甲状腺が腫れてきますが、その程度は様々です。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても体調が悪くなってしまいます。
どうも体調がすぐれないと感じる方の中には、甲状腺ホルモンのバランスが崩れる病気がひそんでいることもあります。
どうも体調がすぐれないな、
そう感じる方はお気軽にご相談を
甲状腺とは?
さまざまな合併症を引き起こす病気です。
甲状腺は食べ物などに含まれているヨウ素を取り込んで甲状腺のホルモンを作り、血液の中に分泌するところです。
甲状腺は首の真ん中、のど仏のすぐ下にあります。重さ16~20g、大きさが縦4.5cm 横4cm 厚さ2mmほどの内分泌腺(臓器)で、蝶が羽を広げたような形です。
女性の方が男性より大きく、高い位置にあります。他の内分泌腺との大きな違いは、ホルモンを貯蔵できる事です。
甲状腺ホルモンのバランスに異常が出る病気
甲状腺の病気になると、多くの場合、甲状腺が腫れてきますが、その程度は様々です。甲状腺機能と甲状腺の腫れは必ずしも相関しません。甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。甲状腺ホルモンが不足してくるとTSHが増加して甲状腺を刺激し、逆に、甲状腺ホルモンが何らかの理由で増えすぎるとTSHの分泌は抑えられます。
セルフチェックリスト
甲状腺ホルモンが多すぎる状態
(甲状腺機能亢進症)
脈がはやく、心臓がドキドキする
手指がふるえる
暑がりでよく汗をかく
よく食べるのに痩せる
イライラしやすく落ち着かない
便がゆるく回数が多い
まぶたが腫れる / 眼がでてきた
甲状腺ホルモンが少なすぎる状態
(甲状腺機能低下症)
顔や手足がむくみやすい
昼間でも眠たい
寒がりで体が冷える
それほど食べないのに太る
体がだるく疲れやすい
便秘をしやすい
肌が乾燥してカサカサする
甲状腺の病気の種類
甲状腺の病気はおおまかに3つ、甲状腺中毒症・甲状腺機能低下症・甲状腺腫瘍に分けられます。
甲状腺中毒症
甲状腺の働きが亢進する病気の代表は「バセドウ病」です。
バセドウ病は女性に多く、男性の約5倍、200人にひとりくらいの割合です。甲状腺を刺激するタイプの抗体が出来ることが原因です。
バセドウ病では甲状腺中毒症の症状の他に、一部の方ですが、まぶたが腫れたり、ものが二重に見えたりといった目の症状が現れることがあります(バセドウ病眼症)。
バセドウ病の治療法は確立されていて、日本では薬を使うことが多いですが、放射線治療・手術療法も行われます。どの治療法にも長所・短所があります。
甲状腺中毒症の他の原因として、次に多いのが甲状腺の炎症によるものです。これには、甲状腺に痛みがあるタイプとないタイプがあります。いずれも、甲状腺が壊れて、貯蔵されたホルモンが一時的に血液中に漏れ出すものです。
バセドウ病の症状
体温が上がり暑がり
多食でも体重が減る
イライラして落ち着かない
下痢
汗っかき
月経異常
甲状腺機能低下症
甲状腺の働きが悪くなる病気として一番多いのが慢性甲状腺炎で報告者の名前をとって、「橋本病」とも呼ばれます。
日本では大人の10人にひとりがこの病気を持っているとされ、女性に多く、男性の4倍以上にみられます。甲状腺で炎症を生じる抗体ができることが原因とされています。しかし、甲状腺機能低下になるのは、橋本病のうちでもさらに10人にひとりくらいで、大部分は機能に問題ありません。
甲状腺機能低下の他の原因として、甲状腺の手術や、下垂体の病気、ある種の食品や薬の副作用のために起こることがあります。特に、昆布やヨード系うがい薬に大量に含まれている「ヨウ素」によって甲状腺の働きが抑えられ、機能低下症になることがありますが、その場合はそれを止めれば治ります。
持続する低下症の方には、甲状腺ホルモンを補います。もともと体内でつくられているホルモンを補うだけなので、飲み過ぎたりしなければ副作用はありません。
橋本病の症状
精神的に活動が鈍る
体重が増える
眠くなる
月経異常
夏でも寒く感じる
脈が遅い
便秘
食欲減退
甲状腺機能低下症
甲状腺の腫瘍は、当院では耳鼻咽喉科・頭頚部外科へ紹介しています。
甲状腺治療についてよくあるご質問
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Q
甲状腺が大きいといわれましたが…。
A甲状腺の大きさは、機能とはあまり関係がありません。甲状腺ホルモンを測定して機能をみることと、甲状腺echoで腫瘍がないかをみることの両方が必要です。
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Q
バセドウ病の治療はどんなものがありますか。
A抗甲状腺薬の内服・手術・アイソトープ療法の3つがあります。
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Q
バセドウ病で手術が必要な場合は。
A副作用で抗甲状腺薬が内服できない、数年内服しても抗甲状腺薬が止められそうにない、早く甲状腺機能を正常化したい場合などです。 一般に、若年発症・甲状腺が大きい・男性は薬が止められないようです。
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Q
バセドウ病で内服中ですが、ヨード制限が必要でしょうか。
A昆布出汁の文化がある日本では、そもそもヨード制限が困難です。海外からの報告をもとに、ヨードの過剰摂取は甲状腺機能の正常化を遅くすると信じられてきましたが、日本では特に問題ないとされています。 ただ、日本は通常μg単位のヨード摂取がmg単位の特殊な国で、根昆布やとろろコンブの大量摂取(数10g程度)は数10mgの負荷になり、これはバセドウ病治療に使われるヨウ化カリウム丸(50mg)を毎日内服している様なもので、量によっては甲状腺機能 への影響は皆無とは言い難く、好んで食べない方が無難です。 ちなみに、橋本病の方は摂り過ぎない様注意が必要です。
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Q
チラーヂンSは一生飲み続けなければいけませんか。
AチラーヂンSは甲状腺に甲状腺ホルモンを作らせる薬ではなく、足りない甲状腺ホルモンを補充するものです。従って内服を中止すると数週間で元の値に戻ります。 甲状腺機能の低下が一過性なら止められる事もありますが、甲状腺全摘後など多くの場合は止めるという選択肢はありません。橋本病の場合、必要量が変化する事があります。
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Q
バセドウ病で薬の副作用はどんなものがありますか。
Aメルカゾール・チウラジールとも歴史の長い薬ですが、未だに代わるものがありません。副作用も比較的多いのですが、良く知られています。 多いのは皮膚のかゆみや肝障害で、軽いものは経過中に改善する事も多いのですが、重症なら薬を中止します。 発生はごく稀ですが、最も重篤な副作用の無顆粒球症は生命に係わるため、発熱・咽頭痛がある場合はすぐに医療機関で白血球を検査する必要があります。 これらは内服開始から3Mまでに起こる事がほとんどですが、チウラジールの血管炎は1年以上内服している人に生じやすいとされており、時々検尿で確認する必要があります。 一般に、メルカゾールの副作用は容量依存的(多量では生じやすく、少量では少ない)とされていますが、チウラジールはそうでない様です。
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